キャスト コメント

舞木 ひと美 <野々宮 風子>

 高校時代と8年後を演じ分けるにあたり、風子の掴みどころのない不思議な雰囲気はそのまま残したかったので、時間は経過しても子供のような自由奔放さを相手役の方が感じられるように役作りをしました。
 劇中で私の食べかけのガムを気になっている男性に食べられるというシーンがあるのですが、現場でリハーサルをした時に実際に相手が食べている姿を目の当たりにして正直ドキドキしましたし、思春期には刺激的すぎて体の底から気持ちが溢れ出てくるのを体感しました。

 風子を通して、価値観の積み重ねを感じながら楽しく演じることができました。本作品はキャスティングのところから関わらせて頂きましたので、自信を持って素敵な俳優さんたちと作品作りを共にできました!是非、劇場に足を運んで頂けますと幸いです。


     

髙橋 雄祐 <大谷 荒野>

 長谷川監督に風子と荒野はクラスに1人2人いる不思議ちゃん不思議君なんだと最初に言われました。高校時代と8年後を演じるにあたって、一般的に歳を重ね社会に出ると喋り方や振る舞いに落ち着きがでてくるかと思うのですが、その逆へ逆への発想で荒野という人物をつくっていきました。
 朝早くから風子を学校に呼び出し荒野は一体なにを考えているのだろうか、異性としての好意なのかはたして8年後もその思いはあるのか、自分で自分を掴めない瞬間の不思議さと楽しさがそこにはありました。完成した作品を見たときは、リアルな時間空間が独特に切り取られた世界にどんどん惹きつけられました。これからご覧になるみなさまにも素敵な体験をしていただけると思います。ぜひ公開を楽しみにしていただけると嬉しいです!


     

眞嶋 優 <七海 マリア>

 観れば観るほど、この作品の虜になります。スクリーンの中で起きている事なのに、実際に同じ空間で目撃しているかのような長回しと引きの映像。現実と同じように、見たいもの全てを見られるわけではないと示すかのごとく、画面からはみ出る人物をあえて追わない良い意地悪さ。これが『あらののはて』です。この世界観をぜひ体験してみてください。大変有り難いことに、本作を通じて「門真国際映画祭2020」において優秀助演女優賞を受賞しました。初めて個人として賞をいただき大変嬉しく思いますし、オーディションを受けて、マリアという人物、長谷川監督をはじめスタッフの皆さん、キャストの皆さん、この作品と出会えたことに感謝しています。そしてここからは、観てくださるお客様との出会いの始まりです。ついに劇場公開。池袋シネマ・ロサでお待ちしています!


     

成瀬 美希 <前田 美咲>

 初稿ではいなかった「前田」という役ですが、前半ではただでさえインパクトのある存在ということもあり、あまり凝ったことはせず素直な感情で演じさせていただきました。出演シーン全体として「嫉妬」×「シュール」を担当していたので空気感や間は特に大切にしました。
裏話にはなりますが、カサブランカ(先生)役の藤田さんとは以前共演しており、普段から本当に先生のような親身になってくださる方なので、その安心感や関係性が教員室のシーンを生んだと確信しています。(笑)
 完成した作品はまさに“劇場で観る映画こそ映画だ”と思わされる作品になっており、巨大な画面に映る画の綺麗さで涙がでました。ヒロインの舞木さんとの、廊下のシーンからのオープニングでは、想像以上に「これから何かが始まる」というものを感じました。お気に入りシーンです(笑)
 是非劇場で、長谷川監督の“映画”というものを全身で受け取ってください。


     

しゅはま はるみ <服部 珠美>

 20年程の付き合いとなる長谷川監督を居酒屋で焚き付けたのは2017年末「カメ止め」の限定上映の直後だ。興奮していた彼は二つ返事で乗り気になりアレヨという間にルネシネマ公開作品が三本も完成した。繊細なアングルと光の使い方が正直、とても私好みのテイストで驚いた。「劇団主宰だったかつても本当に創りたかったのはこれだったのでは?」と今更気付かされた。藤田健彦という盟友(名優)と共に、ルネシネマを止めないよう、いや、振るい落とされないようしがみついて行かなくては。
 今作品では、珠美の絵画教室に、長谷川さん劇団時代のご縁で小劇場界のレジェンド達が生徒役として参加してくださっている。そこはかとなく緊張している私がそこにいた。


        

藤田 健彦 <カサブランカ>

 20年来の演劇仲間である長谷川さん、15年来の役者仲間であるしゅはまさんと2018年に立ち上げた「ルネシネマ」。気心の知れた友人たちとのこのチームは、僕にとって「ホーム」である。しかしながらそれ以前、長谷川演出を受けたのは2009年を最後に4回、しゅはまさんとは2007年に一度共演しただけ。数少ない芝居作りの中で、演出家として、女優として、とてつもない刺激と絶対的に信頼出来る存在であるとの印象を、僕は受けたのである。「あらののはて」において、しゅはまさんと僕に演出は一切無かった。

 リハーサル開始30秒で長谷川さん、「OKそれで!」。
しゅはまさんも僕も、長谷川演出を分かった上で好き放題やらせて頂いた。
我々の関係性と想いを感じて頂けると思う。